緑の協力・掛川隊訪中団に参加
1998年7月20日(月)

恩挌貝(1日中植林)

    朝散歩に出て、遠山先生に出会う
 朝早く起きて砂漠の日の出を見に出る。
ホテルから南に真っ直ぐの道を砂漠の方に向かう。
かなり遠い、村の端れの荒れ地に来る、もう日が昇ってしまった。
戻りながら花、蝶を探すが、見あたらない、宿舎の前のコスモス畑にも蝶は見えない。
 ぐるっと一回りして帰る、鶏が盛んに鳴いている、オート三輪車のバタバタという音が聞こえる。
水路に水が流れ始める、ポンプ小屋の中からポンプの回る音が聞こえる。
 遠山先生と現地の作業員はもう働いている、朝6時から働き始めるとのこと。
今日は、屋根にする木材を切り出している。
『壁は簡単に煉瓦で出来るが、屋根にはどうしても木材が必要なんだが、ここらには、木がなかった。』
『最初に植林をしたポプラが屋根材に利用できる。』と喜んでいた。
木を同じ長さに切って、皮を剥いでいる。『鋸の目立てが出来ないんだよ。』とのこと。
そこにメンバーのN氏が登場、目立ての指導をすることになった。
話し込んでいる内に食事の時間となる。
    実際に砂漠に植林をすること
 食後いよいよ砂漠に行く。
ここ砂漠の地下から汲み上げたペットボトルの水2本を支給されて、バスで出かける。
貯水池の堰堤を越えて南下する。
ポプラ並木が切れるところで車を降りて歩き始める。
砂漠に掘り込んだ貯水池に苗木が漬けてある。
男達はその苗木を一束担いで、砂漠に入る。
 暫く歩いて、砂漠の中に何もないところに植えることになる。
まず、ロープを使ったスケールで位置決めをする。
スケールを外して砂漠に大きな深い穴を掘る。
穴の深さは、70センチ以上で、直径が40センチ位。結構大きくて深い。
穴が深いのは、砂漠なので水が上がってこないから。
しかし、砂漠といってもそのくらいになるとかなり湿っている。
この時は、2、3日前に雨が降った後で、20センチも掘ると砂の色が黒く変わった。
次に底にバケツ1杯の水を入れる。保水剤の着いた苗木を差し込む。
苗木は、枝と葉を落としてある、乾燥に耐えるためだ。
差し込んだ苗木の周りに掘り出した砂を2/3程、埋め戻す。
ホースを使って植えられたポプラの1本1本に充分な水を与える。
埋め戻した砂を足で踏んで固める。
この一連の作業を全員で一斉に繰り返す。
炎天下の作業であり、中々きつい。数本植えた所で休憩を取る。
最初は、戸惑っていたが段々ペースが上がってくる。
掛川から持ち込んだアースドリルは、調整に手間取っている。

    アースドリルのこと

 アースドリルの調整が終わり機械による穴掘りが始まる。
植える場所の位置決めが終了するとアースドリルを使って掘り下げる。
人数分の穴掘りが終わると苗木を入れ埋め戻して、水を与えて、埋め戻して踏み固める。
全部を人力でするよりも数倍の速さになった。
苗木を運ぶのは、小学生のM子ちゃんの役目。
位置決め、予備の穴掘り、機械の穴掘り、埋め戻し、水遣り、
それぞれ自然と役割分担が決まってくる。
機械の穴掘りはかなりの重労働で交代で、進める。
実際にやってみる、機械の重さがかなりあるので掘り込むのには、
上から力をかけるのでなくて機械を支えてドリルが自然と自重で掘り下がるのを待つ方が良いことが解る。
これで能率が飛躍的に上がり、全部で705本ものポプラの木を植えることが出来ました。
人の力だけだったらこの1/3位だった思われます。

    昼食・休憩のこと
 お昼は、砂漠から出て以前に植林したポプラ並木の日陰で採る。
数年前に植林した木が10メートル以上になっている。
この林に入って休憩し、昼食となる。
木陰は、乾燥して、風もあるので涼しくてすごし易い。
みどりの威力を感じさせてくれる。
食事はレトルトのカレーと炊き立てのご飯、それにスープ付でまず、まず。
食後は充分に時間をかけて休む。昼寝をしようとするが、蟻がうるさくてできない。
横になって休める。トイレは、周りの林の中を使う。
炎天下の作業の疲れを充分にとることが出来、午後の活動の源が補充された。
水は、朝支給されたペットボトルで充分だ。
    砂漠の周辺林のこと、小草原、チョウのこと
 砂漠の周りは、以前に植林されたポプラが林となって木陰を作っている。
この林が気候を和らげていて、砂漠に比較して気温も低く湿度も保たれている感じだ。
林と林との間には、自然と小草原が出来ている、花も見られ、蝶が舞っている。
来る前から予想された自然よりも豊かだと感じました。
花の種類も数種類あって、専門家が正確に調べると意外な事が発見できるかも。
蝶は、一番多いのはチョウセンシロチョウ、他にキチョウの類、草原性のヒョウモンチョウが数種類。
アカタテハのようなもの、クロコムラサキ、タテハチョウが数種類見られた。
予想していたよりも意外と多いと感じられた。
植林以前とその後の植生、チョウを含む昆虫の変化を比較すると興味深いものが得られると思います。
    カメラのトラブル
 いつもの通りにケースに入れずにカメラをぶら下げて行く。
最初は、調子よかったが恩格貝に来て2日目からなんとなくおかしい。
砂の上に置かれたカメラの入ったザックを見る。
周りの細かな砂が音も無く、砂煙も上げずに移動している。
あ、これはまずい、と思ってカメラをタオルで包んでしまい込むが遅かった。
昼食時に蝶の写真を撮っていた所ついに動かなくなる。
細かい目に見えないような砂がカメラの内部に入り込んだようだ、レンズの動きもおかしい。
その後、時々は動くが翌日には完全に動かなくなる。
結局、ニコンの一眼レフのボディとレンズ1本を分解修理することになった。
オリンパスのコンパクトカメラは日常生活防水なので全く影響はなかった。
他の人のカメラもおかしくなった物がある。
本当に細かな砂が音も無くさらさらと移動している。
精密機械はこんなのには本当に弱い。
    植樹が完了し、記念撮影をする

 昼食後、元気を取り戻して植林に励む。
ペースも上がり用意された苗木を植えきり、追加を取りに一旦苗木の置いてある貯水池まで戻る。
最初に用意されたものと同じくらいを持って戻り、植え付ける。
最終的には、数えてみると705本のポプラを植え付けることが出来ました。
終わる頃に明日から植林するという中国の人達が見学に来る、私達を盛んに写真を撮っている。
おいおい、逆だろう。君たちが植えてこっちが見学だったら理解できる。
終わって全員集合の記念撮影。中国の彼らにカメラマンを頼む。
皆、生き生きと良い顔で写っていました。
帰り際に砂漠の砂を”ブランド名、砂漠泉・恩格貝”のペットボトルに入れて持ち帰る。

    記念植樹。
 植林を終わって宿舎の近くに記念植樹をする。
用意された斜面に一人1本づつのポプラを記念に名前を付けて植樹をしました。
こんなに遠く、中国の辺境に自分の植えた木が根づいて大木になるかと思うと感無量のものがあります。
絶対にこの木の成長を確認するためもう一度はここを訪れる必要があります。
私達はポプラ、掛川市は市の花フヨウを植え付けました。
ここには、日本全国各地から来た人達が故郷の花木を植え付けています。
山梨県の人は、ブドウ。青森県の人は、リンゴなどです。
非常な寒冷地で冬は、零下40度となるようですが雪がなく
雪による保温効果が期待できないので常緑樹は冬を越せないようです。
静岡県は、暖かなので常緑樹が多く適当な木があると良いのですが、見当たりません。
    砂漠教室
 昨晩に引き続いて遠山先生の砂漠教室の話を伺う。
今日は、皆一日中作業をしていたので疲れてしまったのか参加が少ない。
私も途中寝てしまった。終わりに参加者と遠山先生を囲んで記念撮影をする。

内容は、昨日の分と併せて19日の日記にあります。

    再び星のこと
 砂漠教室のあと星空を見に外に出る。
ここも昨日に比べて人が少ない。
宿舎から少し離れると全く明かりがなく、一人で夜空を見上げていると吸い込まれそうで目眩を起こしそうだ。
    倫さんとの話
 包頭のガイド倫さんといろんな話をする。
出身は、内モンゴルで、モンゴル族だということです。
名前も3つあって中国名(倫雪峰)、中国名の英語読み、そしてモンゴル名とある。
中々誠実で、今の日本の若者が失ってしまった良き日本人を思い起こします。
途中の渡河、私設の関所、道路工事人との交渉、色々なトラブルを解決してきました。
『日本語は、日本語学校で学んで旅行社に勤めて日本の旅行者のガイドを務めて上手になりました。
日本には行ったことがないが機会があればぜひに、行きたい。』とのことです。
この辺の気候は、冬が厳しく零下40度になるが、乾燥しているので雪は殆ど降らない。
星について、北極星は判った。北斗七星は中国読みも同じ、カシオペアは判らない。
メールアドレスがあるが日本語表示が出来ないらしく返信はない。
    砂漠のこと
その後、最近砂漠についての本を拾い読みする。
砂漠といってもその組成にはいくつかの型があるようです。
ここの砂漠は、アフリカにあるものとは違って周辺の山が崩壊したり、
雨水によって削り取られた砂が 堆積して砂の山になり砂漠になったとのことです。
従って砂の下には水がありこれを活用出来る。と書かれていました。
これで砂漠なのに湖が出来たり、土が湿っていることが理解出来ました。

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