The Room of Naturalist/道しるべ・駿河の山

不動岳 1991

 

鎌崩の頭から見た不動岳

1.概要

寸又川と水窪川の分水嶺から少し離れて立つ、独立峰の趣がある。
山行記は1991年のものですが現在も状況は変わらないと思われます。
足下に鹿の平の別天地を持ち、ゆったりとした山容は包容力に富んだ大きな山です。
静岡の山のなかでも最高位に位置します。
熊笹の密生と訪れる人の少なさとあいまって登りにくい山でもあります。
登路は寸又側、水窪側と二つ考えられます。
寸又川側は全て廃道となっていて熟達者以外は歯が立たない。
水窪側は比較的登りやすい。
 標高、2171.3m。2万5千地形図、水窪湖・寸又峡温泉

2.山行報告 1991年5月3日(土)4日(日)

・5月3日(土)

アプローチ
 藤枝、掛川、袋井と来て森町に向けて北上する。
天竜に抜けて水窪の町をすぎて、水窪ダムで休憩する。一息いれて中小屋に車を置く。

中小屋から不動岳登山口
身支度を整えて出発。
林道を歩く、営林署小屋の裏手で、風を避けて予定より早く昼食をとる。
歩き続けて葵沢まで来る。
以前は葵沢に入る手前に壊れかけた小屋があったが、
今は取り壊されて緊急用ヘリポートとなってしまう。
日陰沢に入る林道支線を見送り、更に歩き行くと、林道脇に不動岳登山口を確認して、一安心。
テント場は林道の脇。風が強く寒そうなので、小屋の中にテントを張ることにする。
小屋の付近にはに4、5張はれる。更に上流に行くとまた小屋がありその上に5、6張張れる。

林道を偵察する
 休憩後小屋の中に荷物を置いて、偵察にゆく。川に降りて釣りもする予定だ。
林道を行ける所まで行くことにし、遡る。オフロードバイクの一団に追い越される。
林道が大きく右、左とカーブして高度を稼ぎ、中又川のかなり上流に出る。
尾根の先端で林道が乗り越えている地点で、休憩しているバイクの一団に追いつく。
林道の先はどこまでか不明だがかなり先までいっているらしいとのこと。彼らはここから戻る。

少し行き川を覗く、もうかなり細くなっている、上の方は伐採された木で沢が埋まっている。
竿を出すような所はない。もう少し下流に戻って川に降りる。

戸中川
 適当な尾根に道がついている、その道を辿って川に降りる。
竿を出してみる、鎌崩沢出合のゴルジュの上に出たが生物反応が全くない。水温6℃。
降りたところからすぐにまたゴルジュとなる。
貴之は行けそうだと言うが、余り濡れると疲れるので、無理はせず下に下がる。
大きな滝上に出る、上から竿をいっぱいに延ばすと滝壷に付く、8メートル位あるということだ。
ザイルを延ばせば降りられるが、ここも無理はせずやめる。
結局川には魚の反応がなくもと来た道を戻る。

林道脇の小屋に泊まる
 帰り道にタラを探すがない。サラダの材料がない。
小屋に戻り、中を平らにしてテントを張る。シュラフを広げてしばらく休憩。
水は近くにある、林道に落ちている。
ご飯、カレーを暖め、夕食にする。
早めにシュラフに潜り込む。
風が強く、夜はまだ寒い。(もっと性能の良いシュラフ。厚いマット。シュラフカバーが必要。)
地面が堅くて冷たい、かえって外の方が暖かかも。
2、3時間おきに目が醒める。

・4日(日)

不動岳登山口から鎌薙の頭
 朝予定通りに起きあがり、朝食とする。
テントを畳み、荷物を整理して雨具、昼食等の最小限の物を持って出発する。
上で水場が発見出来ないかもしれないので、水だけは十分に持つことにする。
 登山口の標識に従い山道にはいる。
登り始めてすぐジグザグを切り大きな木をまたぐ。ここは左上に行かず(踏跡がある)右に上がること。
雑木林の中の高さ2,3メートルの熊ササ分けて行く。適当に赤布があり見落とさないように行けば良い。
ササのトンネルの中を行くようだ。
人間の通る分だけ隙間がある、目印に所々ナタでササを切って行く。
 今までは斜面を登ってきたがここで尾根に出る。
ここが分かりにくい、倒木があり道が乱れている、赤布を付ける、100度位の角度で右へ曲がる。
割と広い尾根を行く、左寄りに行くとササが薄く歩き易い。
いくつかの踏み跡がある、余り左に行きすぎるとガレ状になり危険だ。
 一度ササがきれて苔のある場所に来る。苔庭園の標識がある。約半分を来たことになる。
笹が低くなる、右側に鎌薙が見える、ガレの所々に雪が付いている。
笹が胸までとなる。
倒木の上に乗って休憩する。空は晴れて気持ちがいいがまだまだ油断できない。
笹が低くなり、膝までになる、細い尾根の急登になる、正面の尾根が低くなりもう少しという雰囲気になる。
低い笹の上に赤布が見える、鎌薙の頭だ、前半の山は越えた。
休憩する。

鎌薙の頭から不動岳
 鹿の平を従えた不動岳がゆったりとした山頂を見せて立ち上がっている。
雲が多くなりその先、南アルプスはよく見えない。
数枚シャッターを切る。
左にちょっと戻るように110度位の角度で曲がりいったん降りる。
帰りに気をつけなければいけない。(帰りは、少し戻るつもりで、右下に下降することだ。)
又笹が深くなる。動物のヌタ場もある、ときどき行き詰まる。
右側、寸又方面は笹が深いが、左側、水窪方面が笹が低く歩き易い。
ゆっくりと稜線を行き、北側から回り込んで膝くらいの笹の中を少し登ると鹿の平に出る。
 左側水窪方面はガレている。鹿の平は一面の低い草原になっている。
寸又側上西河内方面と行く手の不動岳方面は笹が深い。
中央突破を試み、背丈ほどの笹原に突っ込む、途中行き詰まる。
鹿の平の水場は発見出来なかった。
戻って、北側から回り込み、笹の切れ目を行く。左にロクロバ方面に道が下っている。
不動岳直下で一面の笹原になる。
膝丈位だが下を向いているので歩きにくい、疲れてもきたので以外と時間がかかる。
この辺りは笹原の中に枯木が点在し高山の雰囲気を持っている。

着いた、不動岳の頂上だ。

不動岳から下る
 不動岳山頂気温マイナス0.2℃。残念ながら曇ってきて、小雪もちらつく空模様になる。
周りの景色も見えない。かなり寒い、朝に暖めた赤飯で昼食にする。寒いので早々に退散する。
頂上からの下りは、笹が下向きなので歩き易い。
頂上直下、傾斜が緩くなるところで上西河内川方面を覗く、正面に前黒法師岳が見える。
この下に水場があるはずだが、ちょっと覗いたぐらいでは、場所は分からない。
鹿の平はササを直進してみる、背丈以上はあるが、なんとか突破する。ここは北側を回った方がよい。
鎌薙の頭までは水窪側を行く、こちらの方が歩き易い。鎌薙の頭で小休止、赤布を目当てに右に急下降する。
始めは歩き易いが、次第にササが深くなる
途中上ってくる3、4人のパーティに出会う。
ササが深くなり、尾根が広いところは朝とは違うところを歩いている。
苔庭園を過ぎてササから逃げ出し、水窪側に行きすぎガレ状の所を下るようになる。
赤布テープが殆どなくなる。道が違うのに気付く、左に上がれば道があるはずだ。
(余り下がり過ぎると、尾根をはずれて左に曲がるところを見つけられなくなる。)
左に上がり気味に戻ると踏み跡にでる。
暫く行くと尾根を左折し、斜面に入るところにでる、倒木をまたぎ、踏み越えて行く。
朝赤布を付けたので、ここは容易に抜けられる。しかし要注意だ。
尾根からはずれて、斜面をジグザグに、背丈以上2、3メートルもあるササの間を快調に下る。
所々に赤布、テープがあり心配は少ない。
回りが透けて見え、明るくなると朝ちょっと迷った倒木の所にでる。
林道が見えて入り口に降り立つ。予定より1時間遅れで戻る。
 小屋で荷物をまとめ、ごみを燃して始末し、ラーメンを食べて出発する。
かなり疲れている。時々貴之に置いて行かれる。
予定よりかなり遅れて(2時間)車に戻る。中小屋出発が6時過ぎ、藤枝に9時に着く。

3.参考タイム

3日 藤枝(7:00)(46.5キロ)=袋井(8:00)(85.8キロ)=天竜(8:20)(102.9キロ)=
大輪(9:00)(133.0キロ)=水窪(9:20)(150.0)=水窪ダム(9:45・休憩)(159.5キロ)=
戸中川中小屋(10:30)(172.0キロ)--不動岳登山口(13:00)(途中昼食)--偵察--(16:00・テント泊)

4日 テント場(6:30)--苔庭園(8:00)--鎌崩の頭(9:40 ̄50)--鹿の平(10:30)--不動岳(11:20 ̄40・昼食)
--鎌崩の頭(13:00)--苔庭園(14:00)--不動岳登山口(15:00 ̄15:50)--
戸中川中小屋(17:40 ̄18:10)=天竜=森=掛川=藤枝(21:00)・(289.9キロ)

4.走行距離   往復243.4キロ

5.メンバー   大石幸雄 大石貴之

不動岳・案内図

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