The Room of Naturalist/道しるべ・駿河の山/足久保の山

坂本から突先山

突先山・立体・断面行程図

1.概要

突先山は、足久保・奥長島から釜石峠に登りそこから南下して頂上へ行きます。
そこからは、大山を経て足久保へ戻るのが一般コースになっています。
また、大山からの下山路は、藁科・水見色に下りるものもあります。
今回は、一般路からは、大きく離れた藁科川沿いの坂本から突先山に登りました。
帰りは、車に戻ることと、時間の関係もあり、大山からは林道を下りました。

コースの全体の印象は

所々に踏み跡があるが、全体的に径はないので、尾根を高みを目指して登ることになります。
途中には、酷いブッシュが1箇所、笹が酷いところが2個所あるが、伐採地上端の上に素敵な天然林が広がります。
このコースには、四十一坂峠のお地蔵さん以外に標識、赤布一切ありません、今回も付けて来ていません。
ただ登りですので、地形図で現在地を確認しながら、尾根を外さないように高みを目指せば登れます。
季節は、晩秋から、初夏、5月の連休前くらいが、ブッシュが茂らずに適当です。
なお、このコースは、静岡の永野敏夫さんに薦められた特選コースです。

突先山標高1,021.7m2万5千分の一地形図牛妻


四十一坂峠

2.山行記

1999年10月9日(土)天候晴れ。

四十一坂(「よんじゅういちさか」と読むそうだ。)を登る。
 寺島で藁科川に別れて、右坂本川に入る。橋を渡って坂本の集落の一番手前、川沿いに公園が有る。
この公園の看板の前の空きスペースに、民家のご主人に断って、車を置く。
登りにかかるが、四十一坂の入口が分かり難い。
左からコンクリートで固められた枝沢が入る、両側に付けられた道の左側を行く。
ここで農家のお婆さんに道を聞くと解らない、お母さんが来る、要領を得ない、お父さんを呼んでくれる。
『左に曲がって、林に向かって右に入る。よんじゅういちと読む。この上の方だよ。』と教えてくれた。
右側の道が橋で渡ってくる、その延長線上に有る道を左折する。
右から道が降りてきてT字路になる、左折する。
 左折すると道は、正面に壁のように急傾斜で登ってゆく。そのまま行くと民家の庭先に出てしまう。
戻って径を捜す、コンクリートの壁に保護区の看板が白く裏返しになっている。
ここを右に入る、茶畑の中を杉の林に向かっている。保安林?の看板がありここを左折する、と、峠道らしくなる。
ドングリのなる木、常緑の広葉樹の林をユックリと分厚く敷かれた落ち葉のカーペットを踏みしめて登る。
通る人もなく荒れているが足に優しい。
 上が透けて杉林になると峠に付く。入口でウロウロした分を含めて、ここまでで30分。
峠に2体の石のお地蔵さまがある。
地蔵尊の両側に文字が書いてあるが読み取れない、萬延三年か?西国三十三箇所の文字も有る。
登り口から30分程である、装備、ザック、服装の点検をすると良い。
なお、ここからはブッシュ、笹が出てくるので長袖が良い。この時はTシャツで行って腕が傷だらけになった。

四十一坂から伐採地の上端まで。


 最初は、傾斜の緩い杉林、次いで幹の細い木で構成された天然林。気持ちの良いところだ。
林床に光が届くところもあるが薄暗い、足元からクロコノマチョウが飛び立つ。
快調に登るが、傾斜が急になり、気が付くと何時の間にか伐採後のブッシュ帯に入り径を失う。
やや右の斜面に入り込んだ、杉の幼木、イバラ、ススキ、密林状態になる。
暫く直登するが行き詰まる、回りが少し見える、左にやや大きな木の天然林がみえる、こちらに逃げる。
踏み跡らしきものを見つける。ここは、左に地図通りに尾根の端を行くのが正解だった。(標高580m付近)
 ブッシュを抜けると気持ちの良い天然林に戻る、杉林に入ると小さなコルが有る。
コルを過ぎると天然林で地図上のガレの上に出る。
尾根が広がり、右を杉林の中を行くと上が透けてきて右上が明るくなり伐採地の上端になる。
伐採後の斜面の上で視界が開ける。ここまでで2時間弱、一休みに丁度良い。
登ってきた尾根、坂本の川、集落が見え、駐車してある車も小さく見える。

素敵な天然林を登る。
 この上に4本の比較的大きな赤松がある。
ここがお寺から登る尾根の分岐。
この上に素晴らしい天然林が広がる。
左側は杉の植林帯、右側が天然林で、伐採後の自然林が大きくなったと思われる。
上を見ると急傾斜な斜面で、右が先ほどよりも大きな木がある天然林、左が杉の林。
踏み跡ははっきりしないので適当に直登する。上り切ると大きな石交じりになる。(標高751m)
この辺りがこのコースのハイライト、これから先は苦難の道のりとなる。

笹の中を頂上へ
 上り切ると杉林、笹が出始める、最初は薄いがそのうちに酷くなる。
ここからは傾斜が緩むが、地形図通りで、頂上までは長い。
笹の背丈は、高くなく2メートル以下、あまり太くはない。
しかし、所々目の高さに枯れ木、枯れ枝が笹の上に落ちて、枯れ葉が絡まり行く手を塞いでいる。
足元の踏み跡は定かでなく、笹をくぐるのも難儀、鉈で払いながら行く、時間ばかりかかって先に進めない。
1回目の笹を抜けると杉林、暫く笹に開放される。
暫く行くとまた前方に笹が出てくる、左右が明るいので尾根が細くなり先が見えたと思ったらまだ、まだ続く。
2回目の笹原は更に酷くなる。鉈の歯が小指に当たり出血。指をしゃぶったままにやっと脱出。
また、杉林、また、笹原、しかし今度のはかなり薄い。
 この辺りから久し振りの人工物、プラスチック製の杭が地面に刺さっている。
笹をかき分けて登ると下り(標高差20m位)になる。(標高960m付近)地図を取り出して確認、頂上直下の平らな場所に出る。
やや右に行き、広がった尾根の右側を登る、林道の末端に出る、草が生い茂っている。
そのまま林道を行き、突先山の標識を左に戻りながら頂上を目指す。
 静かな頂上に到達、疲れた。笹原を突破するのに意外と手間取った。
頂上は、一旦切り開かれたが、また杉の木が大きくなった。今日は、霞んでいて近く大棚山、中村山しか見えない。
晴れていれば、東に安倍連山の上に富士山、北に南アルプスが見える。
遅い昼食を摂って、大山に回り林道を下ることにする。

突先山から大山
 突先山頂上を後にして、南に下る、先ほどの林道に降りる。
林道を少し行くと左に壊れかけた作業小屋が有る。万一の場合には雨避けになる。
東側、正面に足久保川の源流域が見下ろせる、左に踏み跡があるが作業用で行き詰まる。(前回確認済み)
見送って、そのまま林道を行く、季節は秋の初めで木々は、青い葉を付けたままで冬とは随分印象が違う。
回りが見えないので落ち着き、歩き易いが景色が楽しめない。
 道には、栗のイガ、ドングリが散らばる、林道の真ん中、土の柔らかい所が掘り返されている。イノシシの仕業か。

大山との中間あたりでコルになり左に林道の支線が分かれる、入口が草で覆われている。(この先も行き止まり、前回確認)
林道を歩いていると、木の枝が大きく揺れる、左で鳴き声、サルか。
 コンクリート舗装に出る、右は坂本に下る。左に行くと大山の頂上。
NTTのアンテナに占領されているがそれを無視すれば、景観は1級品。
アンテナを背にして南に開けた所にテーブルとベンチがあり、新しく作り直された。
冬は、ここに座ると西風が遮られ、暖かく、南の方に静岡市街、駿河湾、伊豆連山と見飽きない。
しかし、今日は霞んで近くの山が見えるだけ。晴れていれば、北側も突先山と同様に南アルプスが見える。

大山から林道を下って坂本に戻る。
 のんびりしていると3時になってしまう。急いで降りる。サッカーアジア予選を見なくっちゃ。
坂本まで2時間、所々、特にカーブに、コンクリート舗装を交えた林道を下る。
途中1箇所左手に水場が有る、草に覆われて見えなかったが、水音がする、草を分けると水を取るパイプが埋め込まれている。
口に含むと甘い、ただ、量が少ない。更に下ると沢水が得られるようになる。
坂本の集落の上、杉林が切れて茶畑になるところにゲートがあり、一般車は進入出来ない。
茶畑の中、坂本の集落のアスファルト舗装を下って朝のところに戻る。

目撃した蝶

クロコノマ、四十一坂付近で5、6頭
ウラギンシジミ、全体的に数頭
アカタテハ、大山頂上1頭
アサギマダラ、伐採地の上端、林道上1頭
スジグロシロチョウ数頭、全体的に見られる

3.参考タイム(実測、休憩時間を含む。)

坂本(9:30)--四十一坂峠(10:00)--小さなコル(11:00)--4本の赤松(11:30)--
突先山(13:10〜14:00)--大山(14:40〜15:00)--坂本(17:05)

突先山 道しるべ・駿河の山

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