The Room of Naturalist道しるべ・駿河の山大井川中流域の山

林道文沢線から無双連山


無双連山、登山道入口

    1.概要
 南アルプスが、延々と南下し、大井川と安倍川の分水嶺となり、さらに広がる大井川の中流域にある。
千頭の東南に1000m前後の山並みを連らね、昔、山頂に徳山城があったという。
交通の便が悪く、どうしても車利用となる。
稜線まで杉桧の植林がなされ、展望に恵まれないが、2箇所ほど南アルプス南部が遠望できる。
林道が入り組み、歩道も多くあるので、林道と歩道を組み合わせると幾つかのルートがとれる。
今回は、下泉河内川を遡り、林道文沢線を利用、このルートは、山中で貴重な水が得られる。

標高1,083.3m2万5千分の1地形図石上
    2.山行記 2002年10月12日(土)晴
アプローチ
 藤枝からハナミズキ通り、島田を経由して県道を北上、第2東名建設現場の橋が大分出来てきた。
家山を過ぎ、川根温泉は相変わらずの人気で、既に満車状態。
大井川鉄道のSLは、本日2重連の予定、既にカメラを構えた人も目に付く。
下泉の駅の手前を右折、下泉河内沿いの町道に入る、右に不動の滝への道を分ける。
一部、道路工事で右に迂回する、神社、先日間伐した林の横を通り、橋を渡り暫らく行くと文沢の集落。
集落の端で舗装道路が終わり、右に回りこんで林道文沢線に入る。
比較的大きな沢を渡り、山腹を巻いてゆく、左にUターンすると右に戻るように林道が分岐する。
この分岐が少し広くなっている、登山道入口は、その先の尾根の末端に標識がある。
この文沢林道は、更に奥まで延びて、四辻に出て青部、徳山に下る道、作業道路、無双連山方面に分かれる。

登山道入口から沢の源頭
 登山道入口には、小さな尾根の先端で2,3枚の標識があり見逃すことはない。(上の写真)
尾根に登ると雑木の天然林でやや勾配がある。
尾根だけが天然林で、ヒメシャラなどが見られ、その左右には杉の人工林となっている。
 やがて、右からの人工林がせりあがり、尾根も人工林になる。
傾斜のある尾根を登って行くと、暫らくして傾斜が緩くなり一息つける。
程なく尾根が細くなる、その尾根が斜面に吸収され、斜面をジグザグに登る。
 左手から沢の音が聞こえ出すと左にトラバースし始める。この辺はずっと杉の人工林が続く。
地図から判断して、ここは、右(南)にトラバースし、東から回りこんで稜線に出るのかと思ったが逆だった。
殆ど水平に、暗い人工林を行くと小さな沢の源頭に出る、水はなく、壊れかけた小屋がある。
 少し登って、更に行くと左手の水音が近くなり、また沢の源頭に出る。
登山道の直ぐ下から水音が聞こえ、野生化した山葵が見られる。
径から沢に下りると清冽な水が湧き出ている、冷たく無味で素っ気無い味がする。
 標高は1,000mを越え、稜線近くに湧き水があるのは驚きだった。
この水場は荒らされていなく清潔で大事にしたいものだ。
夏の渇水期には水が途切れるのかもしれないが、野生化した山葵があるのだから少し下がれば水が得られると思う。

山中の水場から反射板
 水場を過ぎて右を見上げると、稜線が峠状に低くなっている、それを目指して緩やかに右に上がる。
暫らく登ると明らかな踏み跡が左に分かれる、標識に従い右に行く、壊れた小屋があり、稜線に乗る。
 徳山城址鍛冶屋敷との白い杭があり、このあたりは、桧の人工林で、稜線は、緩やかに広がっている。
ゆっくりと登って行くと前が明るくなり桧の幼樹が植えられている。
左上に桧の幼樹、右の成木との境に径がつけられている、ピークは巻いて行く。
 変だなと振り返ると、目印があり、切り開かれている、戻るように登ると1,083.3mの三角点になる。
頭だけ出た三角点と1枚の標識が、桧の幼樹の中に秋の日にあたりまぶしい。


1,083.3m三角点

このピークから直接派生する尾根が下れそうだ。1,085m地点まで行ってからここまで戻り下る予定にする。
三角点の周りにはリンドウが数輪、新鮮な紫色の花を着けている。
 元に戻り人工林を行くと陣屋平、前が透けて人工物がある、近づくと中電の反射板だった。
正面に反射板、右に切り開きが延び、左手下に壊れた小屋がある。
左に抜けると林が切れ、ススキの穂が輝いている、その上に南アルプス深南部の山が見通せる。
 ここで昼食にする、正面に前黒法師岳、黒法師岳が見え、右に大無間山が小無間山、風不入を従えて少し遠い。
更にその右に赤石、悪沢岳か南アルプスが覗く。
ここで昼食にする。深南部の雄姿をおかずにと言いたいところだが、ススキの穂がうるさい。

反射板から清水砦、林道
 昼食後、重い腰をあげまた薄暗い人工林に入る、せめて稜線だけでも天然林だと良いのだが。
少し下ると前方が不自然に、稜線に直角に切れている、人工的に加工してある、空堀との白い杭がある。
登るとこれから北、本城の白い杭、標高1,110mの最高点。
 無双連山の標識がある、標高が1,083.3mとなっている、これは間違い、三角点の標高だ。
このあたりは、尾根が広く殆ど平になっている、白い杭には、殿屋敷とある、城跡の中心部のようだ。
また、屋根だけの壊れかけた小屋掛けがある、雨だけは避けられそうだ。
 広い稜線が細くなり人工林が途切れ天然林になる、犬戻りだ。
往時、稜線が細く、両側が切れ、犬が渡れず、戻ったと言われている。
現在は、両側の木が大きくなり、危険等言うこともない、かえって天然林の気持ちの良い尾根になっている。
渡りきる頃に右、東方面が切れ小猿郷の上部集落が望める。富士山が見えそうだが今日は霞んでいる。
人工林に入り左に下る径がある、青部、徳山方面に下る、標識はないが、鉈目があり、径は、手入れされている。
 少し登ると、1,085m、清水砦の白い杭、これからやや急激に下ると、正面に立派な標識左に青部、徳山、右に高山とある。
更に下ると前方が透けて眼下に林道が照り返し、白く見える。 林道に降りる手前で、左、北西方面が開ける。
 南アルプス深南部が正面に見え、やや右に大無間山。悪沢岳、赤石岳が遠く覗く。
両脇に小無間山、風不入を従えた大無間山の姿が良いが少し遠い、雪の季節には映えているだろう。
林道に下り立つ、最近手入れしたようで砂利が撒かれ、峠状で静岡市北部方面に下っている。
出て来た登山道の入口には、無双連山方面の標識がある。

林道から殿屋敷に戻る
 一旦林道に降りる、林道は、東側に延びているが、どこまで行っているかは、未確認です。
暫らく地図とにらめっこ、どうしようか、青部、徳山方面に下り、適当に戻ることにする。
もう一度登山道に戻る、上がったところからは雑木の上に、深南部が望める。


大無間山

木が大きくならないうちにもう一度来て見よう。
先ほどの大きな標識から、青部、徳山方面の歩道に入る、下には林道が来ている。
暫らく行くと結局林道に降りてしまった、壊れた梯子で、ここにも登山道入口の標識がある。
仕方なく林道を下る、2万5千地形図とは違い、尾根を切っている。(最新の地図では訂正されています。)
 左下にあると思われる径を探しながら、林道の左端を覗きながら行く、と、見つけた。
左に下る新しい径が出来ている、新しく作られたようだが、最近通った足跡はない。
ほんの2、3回ジグザグを切ると水平道に出た、これは古い径だが、最近手入れをしたようで歩き易い。
桟道も作り直されている、無理のない径でよく出来ている。周りは、天然林で気持ち良い。
右下遠くに水音を聞きながら水平の径を戻るように行くと、稜線が近づき登りがきつくなる。
傾斜のある斜面を登り、人工林になり、傾斜が緩むと犬戻りの北側の稜線に出た。
 犬戻りを渡り、徳山城址本城、殿屋敷に戻った。
北上するとき気が付かなかったが、ここ1,110mとの間に林道文沢線への標識がある。
予定を変更してこの径を下る。

殿屋敷から林道、出発点に戻る
 稜線から戻るように右に分岐する、直ぐに小さな尾根を下るようになる。
地図で確認すると、1,110mから北西に派生している尾根だ。
殆どが人工林で周りは見えない。ひたすら下ると林が切れて下が透けてくる、林道が見える。
林道に近づくと左に回りこんで沢に向かい、最後は沢に沿って下り、鉄製の梯子を使って林道に降りる。
沢に突き当たったところで、沢に下ることが出来、水が得られる。
ここにも無双連山登山口、水場との標識がある。
 出発点に向かい林道を下ってゆく、意外と長い。
後から数台のモトクロスバイクが追い越して行く。
左側の尾根の先端に踏み跡がある、多分1,083.3m、三角点への直登コースの入口と思われる。
周りは、秋の気配が濃くなりススキの穂が風に揺れ、午後の陽射しに輝いている。
幾つかの小さな沢を横切り、残置ワイヤ、カバーされた機械等を右に見て林道を行くと元に戻る。

林道を偵察
 元に戻り、まだ日があるので林道を偵察に行く。
登山道入口から歩いたところを車で戻り、北上する。
直登コースの入口、登山口、(水場)を過ぎて尾根が近づき峠に出る。
正面は、青部、徳山方面、左は作業道となって文沢の北西の尾根になる、右は、無双連山方面となっている。
峠には、右から尾根伝いに歩道が下りてきている、先の犬戻りと清水砦の中間に繋がる水平道と思われる。
 右、無双連山方面に入る、未舗装で余り使われていないようだが、確りしている。
かなりの傾斜で登って行くと、林道から水平道に降りた地点に出た、そのまま行くと、清水砦から降りた先ほどの峠になる。
林道はそのまま先まで延びているが、日も大分傾いたので帰ることにする。
 この山域は、林道が稜線まで延び、歩道が入り組んでいる、面白いコース設定が出来そうだ。
だが、稜線まで植林され、見晴らしの効く場所が少ない。
径は最近手入れされ歩き易く、無用な標識、赤布は少なく、静かなコースとなっている。
他のコースは、無双連沢から、小猿郷から、徳山から、1,083.3m直登等あり、まだ楽しめそうだ。

    3.参考タイム
2002年10月12日(土)
藤枝(9:00)=島田=家山=下泉(9:55)=文沢=林道文沢線登山道入口(10:30)--巻径に入る(11:30)--沢の源頭、水なし(11:35)
--沢の源頭、水あり(11:40-11:45)--稜線、徳山城址鍛冶屋敷(12:05)--三角点(12:15)--陣屋平(12:25)--
中電反射板(12:30-13:10)--空濠(13:15)--殿屋敷(13:20)--犬戻り(13:28)--清水砦(13:32)--林道(13:45-13:55)
--林道から巻き径への分岐(14:05)--稜線、青部、徳山分岐(14:35)--殿屋敷(14:50)--登山口、水場(15:20)--出発点(16:08)

    4.MAP
作成中

無双連山 大井川中流域の山 道しるべ・駿河の山

(注 このホームページの写真、文章は禁無断転載とさせていただきます。
転載する場合は必ず連絡下さい。)

このページの制作者は 大石 幸雄 Oishi Yukio です。

inserted by FC2 system