標高1300メートルに満たない山だが人の気配も全くない原始の山。
寸又峡温泉に行く途中、兎辻に近くなると右手に大きく、近く端正な三角形に見える山です。
寸又温泉に入る峠、兎辻から北東に入ります。
栗代川と大井川本流に挟まれた大無間南尾根、風不入(かぜいらずと読む)の南端にあります。
特徴は、全く何もない山。
地図に山名はない、破線路の記載もない。
プレート、案内板は、全くない。
テープ、赤布、殆どない。
踏み跡、微かにある。
眺望、まるでない。
魅力、やっぱり何もないこと。
唯一の欠点は、途中まで時折り、右下側の県道を走る車の音が、聞こえることかな。
このコース、ハイライトは、登りの頂上直下の壁、密林状態なので逃げずに直登すること、横に行くと詰まる。
下りは、北上する尾根に乗る所が判りにくい。
尾根は、殆どが、天然林。1個所素晴らしい林がある。
林道への下降点が不明。今回は、適当に下ってしまった。
この山を紹介するのは迷ったが、注釈付きで紹介します。
案内標識、プレートは、全くなく、テープ、赤布も殆どなく、踏み跡も微か。
地図だけを見て判断出来る人、静けさを愛する人だけが行けます。
2万5千分の一地形図は正確、地図に出ていないピークとかは、ない。
ハイキング気分では行けない。ひるんぼも居るし。
なお、新しい赤布等は付けて有りません、それを頼りは、行けない、ってことです。
2.山行記・1999年7月24日(土)
今日は、静岡7時、登り口に、9時。頂上まで3時間12時。1時に下り始めて、稜線を1時間北上。
下りに1時間、林道に3時。元に戻って、4時。という計画です。
静岡を回って、栗代林道入口に9時に着く。
途中、道路の側溝に脱輪した車を引き上げるのを手伝ったりしたので少し遅れた。
洗沢峠の手前、道路を塞ぐように数台の車が停まっている、どうした、車を停める。
「牽引ロープ有りません?」ん、脱輪した車が引きあがらない。
さすが、今日の車の持主K氏は用意が良い、あった。
早速車を繋ぐ、数人で引っ張る、押す。何とか引き上げる。
山仕事の人達、道路工事の人達、みんな親切に手伝った、見ず知らずの人達が協力して車を引き揚げた。
朝から気分爽快。
林道との分岐で準備をし、道路脇の山の神様にお参りして、9時30分に尾根の先端に取付く。
最初は、植林された桧の林を行く。
尾根づたいに踏み跡が続いている、最近人が歩いた気配はない。
30分程で明確な尾根に出る、南西が開けて沢口山、前黒法師岳が見える。
このコース唯一の周りが見えるところ。
所々に瓢箪が彫り込まれた石柱が埋め込まれている。御料林の標識と言われています。
踏み跡を辿り稜線を行く。
右側は、植林帯、尾根上は天然林、左側栗代川方面は天然林となる。
この辺りの稜線は、足元にイワカガミが見られ、ホトトギスの双葉が芽を出している。
尾根上の天然林には、馬酔木が目立つ。
杉の木が伐採され、林床に光が入って、最初に勢力を伸ばすのは、馬酔木になりそうだ。
登り口から1時間ほどで傾斜が緩み、杉の植林の中、右手下に壊れかけたトタン屋根の小屋を見る。
休憩し、地図と高度計で現在地を確認する。
更に、右杉の植林帯、左、天然林の境目を登る。
途中右に分岐する踏み跡があるが行き先は不明、忠実に尾根を行くこと。
尾根が切れて、平になり二重山稜になる、左に回り込み、地図上で頂上手前の壁の下で休憩する。
一段登って、あと200メートルを直登する。
壁の左端、西側を登る、雑木の中、直線的に、人間か、動物かの踏み跡が続いている。
焦らずにゆっくり登る、足で登るよりも、手で木を掴んで身体を引き上げる回数が多くなる。
鉈目をつけ、小枝を払いながら一歩一歩ゆっくりと行く。
それに付けてもキツイ。歩き始めるとどうしても夢中になる、意識してペースを落とす。
右側が微かに透けて空が見える。左側は、密林状態で見通しはない。
徐々に、右側の透けて見える空が上にも広がり頂上の近いのが判る。
一度小さな段差を乗り越えると更に上が明るくなる。
寸又峡温泉の放送が風に乗って聞こえる、
12時の時報を背に頂上の一角岩のゴロゴロした地点に辿り着く。
更に5分で三角点のある頂上に到着、プレートは無く、三角点だけに日が差し込んで明るい。
周りの景色は全くない。日陰の平らな地点を選んで休憩、昼食にする。
林の中で見通しが利かないが注意してみると右手の下に大井川本流が透けて見える。
左手には、朝日岳らしい山が大きく見える、これから下ろうとする尾根は見えない。
地図と私の感、K氏の高度計とコンパス、何回も現在地を確認しながら登ってきた。
地図は、載っていない小さなピークとかはなく、正確だった。
この山は、標識とか案内板は全くなく、テープも古いものがほんの少し、
と読図能力を最大限に試された。
さて、下りにかかる、風不入(かぜいらずと読む)を経て大無間山に続く尾根を北上する。
三角点のある頂上は、一番右、東に寄っている。
そのまま北に行くと大井川に落ち込んでしまう。
地図で判断すると、下りの注意点は、3個所ある。
1つは、頂上からの下り口。もし、間違えたならば、左手の朝日岳が見えなくなる。
2つ目は、標高1200メートル付近で右に派生する尾根が有る。こっちに入らないこと。
3つ目は、林道への下降点と考えている標高1090メートル付近の広い尾根からの下り口。
地図を見ると尾根は左、西の端から派生している。
ここまで、地図は正確であった、尾根はその通りに有ると判断して良い。
昼食後頂上の端っこ、岩のゴロゴロした地点まで戻ることにする。
尾根の取り付きを見のがさないように稜線から5、6メートル下を行く。
あった、急激に下る細い尾根に踏み跡がついている。ここも目印はない。
積雪期で、先行者が無く踏み跡がない場合は、これを見つけるのは、困難と思われる。
尾根は、岩がゴロゴロしていて歩きにくいのでゆっくりと下る。
1200メートル付近の派生する尾根に行き着く、左に入る。
入口の細い枝を払い、鉈目を着ける。
この辺りは、両側とも自然林で晩秋から初冬にかけては、
木々の葉が落ちて左手の朝日岳を見て快適に下れるだろう。
(下の写真の地点です。)
急激に下りきった地点で休憩。頂上から45分程経っている。
K氏の左足が疲れてきている、下りは全体重が片足にかかるので大変だ。
1111メートルのピークに30メートルほど登る、植林された落葉松の林になる。少し笹が出てくる。
10メートほど下って登る、と、尾根が広くなり素晴らしい天然林となる。
水があればぜひ泊まりたいところだ。
この尾根にこんなにも素晴らしい光景が展開するとは思わなかった。
その林を抜けるとまた、落葉松林、下草に笹が出てくる。ついで杉の植林になる。
この辺り、稜線上の踏み跡はガレに侵食され、消失している。
この辺を左に下る予定だが入口が見つからない。
杉の植林帯を微かな踏み跡を頼りに適当に下る。
右に振られて北に導かれる。が、覚悟を決めて下る。
適当に下っては、横道を見つけて辿る、道端に積み上げられたケルンを見つける。
その小さな尾根を下る、少し広くなる地点で径を失う、もう林道が近いはずだが見えない。
少し戻って杉林に入る、まっすぐに下ると足元に林道が見えた。
1メートル程の石垣を飛び降りて林道に降り立つ。
林道の左側に廃車がある、林道終点のゲートに近く、予定地点よりかなり上、北側に出た。
下り始めて1時間近く経っている、かなりウロウロしていた。
林道を1時間以上かけて出発点に戻る。途中、はしごが有る下降予定地点を確認する。
一度こちらから登り直してみると下降点が判明する。
林道入口に戻り、山の神様に今日一日の無事を感謝する。
まあ、よく歩いた、殆ど予定時間通りでした。
藤枝(6:15)=静岡(7:00)=栗代林道入口(9:00-9:30)−最初のピーク(10:05)
−小屋の平(10:30)−頂上の壁手前下の段(11:20)−頂上の一角、岩がゴロゴロした地点(12:00)
−栗代山頂上(12:05-13:00)−稜線上の2つ目のピーク手前(14:00)−下降点−林道(15:00-15:10)
−栗代林道入口(16:20)=千頭(17:00)=藤枝(18:00)
4.栗代山行程図 (下の図は、クリックすると拡大されます。)
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