The Room of Naturalist

南アルプス深南部

前黒法師岳-2


前黒法師岳山頂の古いプレート

    1.概要
 南アルプス深南部の入口とも言うべき寸又峡温泉を巡る寸又三山の一つ。
主稜線から離れ、秀麗な尾根を広げた姿が印象的、特に丸盆の東尾根、上西河内の水平道から見る姿が好きだ。
前黒法師岳という名前や、2000メートルに欠けることから損をしているかもしれない。
眺望には恵まれないが栗の木の段上部の天然林は素晴らしい、この山の魅力は、この尾根にある。
写真や、言葉では現せない良さがあり、新緑の季節や、落ち葉を踏みしめての登りには大きな魅力がある。

標高1,943.2m地形図(1/25,000)寸又峡温泉

    2.山行記 2001年11月10日(土) 天候・霧から雨のち曇り
アプローチ
 朝家を出るときは、昨夜来の雨、普通のメンバーなら中止する所だが釣りもする仲間なので、やってきた。
バイパスは、6時前なので無料、島田に出て家山を経由して大井川沿いに北上、四季の里となりのコンビニで食料調達。
シーズン中、奥泉からは渋滞するが朝早いのでそんなこともなく寸又峡温泉に到着、 臨時駐車場あたりのモミジが紅葉の見頃になっている。
温泉のはずれのゲートにつく頃には雨が上がった。

寸又峡温泉から登山口
 温泉のゲートの下に車を置いて遊歩道を行く。
朝早いのにもかかわらず観光客の姿が見え、一部の土産物店は開いている。
トンネルを抜け、大間川にかかる飛龍橋を渡り舗装された遊歩道と別れ、左に未舗装の林道に入る。
この分岐点に案内板と登山者カード投函箱がある。
林道を2,3回折り返すと右に標識があり前黒法師岳登山口、ここまで温泉から40分。


霧に煙る大間川上流、登山口付近

登山口から湯山集落跡を経由して湯山林道
 右手の山道に取り付くが、先に数人パーティがおり渋滞している、少し待って登り始める。
右に登り、直ぐ左に登るようになる、ここにステンレス製の階段が設置されている。
雨に濡れて滑り易く、一部壊れているので歩きにくい、ここで渋滞していた。
暫らく水平に行き、道は更に奥に続いているが、道標に従い右に折れる。
小尾根に乗り急激に登ると尾根を平らにした所や、石垣が現れ湯山集落跡となり標識がある。
ここに先行するパーティが休んでいる、藤枝、焼津から来た30名の大パーティだった。
 この団体を追い越し行くと傾斜は緩み左に長く斜上する。この辺りは、杉の人工林。
また尾根らしきものを登るともう一度石垣が見られる、ここで休憩する。
暫らくジグザグに登ると稜線に出て湯山発電所からの径が右から上がってくる、ここにも小さな標識がある。
以前、といっても20年前には、この稜線は、馬酔木のトンネルだったが、現在馬酔木は、少なくなっている。
また、この辺り一帯、寸又川本流側、東北面は、伐採され朝日岳方面が良く見える。
 上が切れ湯山林道に飛び出す、林道脇に小屋があり、材木の集積場になっている。
ここからは、対岸の朝日岳が良く見えるはずだが頂上は、雲に隠れて見えない、頂上直下のガレが正面に見える。


雲がまとわり離れない朝日岳、湯山林道から

湯山林道から栗ノ木の段
林道によって切断された登路は、尾根の少し左、西側を階段状に切ってある。
杉林のジグザグを上がると栗ノ木の段、径は、稜線の少し下に付けられ、右側斜面は伐採されている。
登りきった広い尾根が栗ノ木の段、標識がある、この広い尾根は、姫紗羅の目立つ天然林で、この山の一番良い所。


栗ノ木の段、標識

栗ノ木の段から白ガレの頭
 径は、この稜線をユックリと登って行く、長いが緩やかで、落ち葉を踏みしめての登りは風情がある。
稜線の左側は、杉の植林帯で前に来た時は若木であったが成長し大きくなり暗く寒い。
登路はこの境目、ほぼ天然林側に付けられているが、時に落ち葉で隠れている。
 登りきると少し斜面を右に行き右からの支尾根を分ける、左に直角に曲がるが、立派な標識がある。
下りの時に入りやすい尾根だったが現在は、この標識があるので間違いない。
緩やかな登りが終わると一旦杉林に入る、抜けて白ガレの頭までの斜面が壁に取り付き急登の連続となる。
 この斜面の基部、緩やかな斜面で先行するパーティが早めの昼食を摂っていた、追い越す。
大きな斜面をユックリと登り少し笹が出てくると前方が明るくなり白ガレの頭となる。
白ガレの頭は、大間川方面が切れて見晴らしがあるが今日はダメ、足元がスパっと切れているので注意したい。
ここで最後の登りに備えて軽く腹ごしらえ、追い越したパーティの人声が近づく、入れ違いに出発する。

白ガレの頭から前黒法師岳頂上
 白ガレの頭からは、傾斜が緩み、軽い笹の、細い尾根になる。
頂上までは1時間ちょっとで大体先が見えたことになる。
笹の細い尾根は、左側が所々切れているの注意して行きたい。
このあたりから雨が酷くなり雨具を着ける。
杉林の中一度尾根をまたいで行くと展望所の標識、ここから聖岳が遠望できるが今日は雨の中。
これを過ぎて頂上直下の急激な登りに入る、この登りが30分ほどかかる。
 一度尾根を変え、右に回りこんで緩やかな頂上の一角に取り付く。
尾根を変えるところが斜面を直角に左に折れる、下りにこの場所が判り難かったが、ここにも立派な標識が設置されている。
頂上手前に、頂上まで10分のプレートがあり急激な登りも終わりに近いことが判る。
以前来た時は、この斜面に倒木が散在し、跨いだり、潜ったり体力を消耗させられたが、現在倒木は、整理され全く無い。
前黒法師岳の頂上は、東西に長く、足元は、見事な苔に覆われ針葉樹の中静かなところだ。
 三角点は、前黒法師岳の頂上西に設置され、この周りだけ木が切られ、南西のみが開ける。
ここから蕎麦粒山、南赤石幹線林道方面が見えるはずだが、ここも雨で全く見えない。


前黒法師岳頂上

雨を避け、林の中で昼食にしていると30人パーティが賑やかに着いた。
表彰とか撮影とか慌しく、騒がしくして、先を急いで帰っていった、やっと静かになる。
本当は、この山は人も少なく、静かな山歩きが楽しめる、人数は別にして今日登ったのは、2組だけだった。

下り
 我々ものんびりしてはいられない、早速もときた径を下山にかかる、途中団体を追い抜くのに時間がかかる。
下りは、頂上から降りて直ぐに右に曲がる、直進すると上西河内、千頭ダム方面に下りてしまう、が、立派な標識がある。
また、白ガレからの下りを過ぎ栗ノ木の段手前にも右に曲がる所があるがこれも標識がある。
栗ノ木の段も右に折れる、適当に歩くと標識を見逃すが、正面が伐採されていてこれを右に採ればルートに出る。
湯山発電所への径との分岐には、矢印のついた小さな標識がある。
寸又峡温泉で、露天風呂に入り、ソバを食べて帰る。

まとめ
 以前に比べ倒木は整理され、道標も完備され歩き易くなった。
迷い易い箇所は、下りの2箇所、頂上から下ったところ直角に右に折れる。
栗ノ木の段の上、ここも下りで直角に右に折れるところ。
但し、現在は、しっかりした指導標が設置されているので見落とさないようにすれば良い。

    3.参考タイム
藤枝(5:35)=寸又峡温泉(7:45)--登山口(8:22)--湯山集落跡(8:45)--林道(9:30)--
栗の木の段(10:07)--白ガレの頭(11:40)--前黒法師岳(13:05-13:30)
--白ガレの頭(14:13)--栗ノ木の段(15:05)--登山口(16:15)--寸又峡温泉(17:00)

前黒法師岳へ戻る 南アルプス深南部へ戻る 山案内のコーナーへ戻る

(注 このホームページの写真、文章は禁無断転載とさせていただきます。
転載する場合は必ず連絡下さい。)

このページの制作者は 大石 幸雄 Oishi Yukio です。
inserted by FC2 system