The Room of Naturalist/静岡の山案内/南アルプス深南部

前黒法師岳


天水から見る前黒法師岳・2000.4.29

1、概要

 寸又三山の一つ、その中で一番奥にあり、登りにくい。
黒法師岳をはさんで水窪側に前黒法師山があり紛らわしいが、こっちは、前黒法師岳である。
中間に素晴らしい尾根があり駆け出したくなる所です。これだけでも一見の価値があります。
標高1943.2m、2万5千分の1地形図・寸又峡温泉

2、山行記 1982年1月25日、天候、晴れ

寸又峡温泉から湯山発電所分岐
 冬の一日、6名のパーティで、寸又峡温泉を早朝に出発する。
飛竜橋を渡り、大間川のほうに左折する。
 暫く行くと林道の右手に、鉄製の梯子を見つける。
古い小屋(今はなく、石垣だけが残る。)の後を過ぎて、杉林の中、直角に右折する。
ザラザラしたガレの跡を登る。
栗の木の段。休憩。
 植林後2、3年の杉林を登る。所々にブッシュがあり茨があるが道を拾ってゆける。
突然足元に瓦が散乱している、なんだこれは、建物の跡だ、それもかなり大きい。
朽ちて壊れた大きな社の跡に着く。ずいぶん大きくて、立派なものだったに違いない。
右手から上がって来る尾根に登り着く、アセビがあり、細い尾根に道が付いている。
標高965mの地点で、湯山の発電所からの道の分岐点になっている。
ここは西向きに90度左折する。

湯山発電所分岐から白ガレの頭
 左手が杉林、右手が雑木林になる。
ここの右手(北側)の林が素晴らしい。
傾斜の緩やかな広い尾根で落葉樹が多く落ち葉が厚く積もっている。
大きなヒメシャラの木が点在し、白樺が混じり、本によればアカヤシオもあるはずです。
5月頃再訪してみたい所だ。
 傾斜がきつくなり針葉樹林になり尾根が細くなる。
緩く左折する。標高1196.6mの地点だ。
ここは下るときに、気を付けなければならない。
(しかし、下りに間違えてかなり下まで降りて気が付き右に行き戻った。
南側の杉林との境目に道が付いているのでここを通ること。)
倒木が道を塞ぎ、その上を行くのでほとんど地面に足が付かず、
アスレティックをやっているようで疲れる、体力を消耗するところだ。
ポンと倒木から解放される。1665m手前の白ガレの頭に飛び出る。

白ガレの頭から前黒法師岳
 小休止をし、後続のKさん達が来るのを待って出発する。
又、倒木帯だ。
尾根が細くなる、雪が積って残っている、北面だけが開ける。
南アルプスの主峰が見える。ここだけ唯一北側の眺望が得られた。
暫く休んで、写真を撮る。頂上は近いはずだ。
 針葉樹林に入る、またまた、倒木帯だ。
左側は熊笹、右側に尾根がきている斜面に出る、道が判然としなくなる。
上に大きな倒木があり、道を塞いでいる。
 右に逃げ、尾根を目指す、沼津かもしかのプレートを発見する。
尾根に出て左に登る、ここも気を付けなければいけない。
下るときに間違えて、直進するとそのまま上西河内に下ってしまう。
 更に、ただ黙々と倒木の上を登る。
傾斜が緩くなり、頂上の一角に辿りつく。
奥に、三角点を見つける。
僅かに南側が見える。大間川の上流、蕎麦粒山方面が覗く。

前黒法師岳から寸又峡温泉
 1時を過ぎている、早々に昼食をとり、下りにかかる。
先ほどの沼津かもしかのプレートを確認して、右に曲がる。
北側が見える細い尾根を通過する。
倒木帯を突破する。傾斜が緩くなる。
 難しい所は通過して下山の山は超えた、安心する、途端に道を間違える。
暫くして道がなくなる、いつの間にか広い尾根を適当に下っている。
但しここは駆出したくなるような素晴らしいところだ。
間違いに気が付いたがそのまま駈け降りる。
白樺、ヒメシャラその他の落葉広葉樹林だ。
 適当なところで、みんなを止める。
止めないとこのまま下まで降りる勢いだ。
このまま降りると、千頭ダムの辺りに出てしまう。
 皆を止めて道を間違えていること告げて、右に戻る、杉の林が見えて、本来の道に戻る。
しかし良かった、この尾根にはこんな素晴らしいところがあるんだ。
尾根が細くなる、右に折れる、ここには古い標識がある。
直進すると湯山の発電所に出るはずだ。
社の跡。
駈け降りる。
林道に出る。
 薄暗くなってきて、寸又温泉に戻る。
今日は良く歩いた。
Kさんもついて来れて良かった。後からの話、歩かされてばかりだったとのこと。
真冬の短い日の中、日帰りで全員無事帰還、この山行は誇れる思う。

3、行程

 藤枝=静岡=寸又峡温泉ーー登山口ーー屋敷跡ーー十字路ーー社跡ーー
湯山発電所分岐ーーガレの頭ーー細い尾根ーー頂上

七ツ峰頂上から見た前黒法師岳

注意事項
 この報告は、1982年当時のものです。
湯山発電所分岐から上は、余り変わっていないと思われます。
栗の木の段から、湯山発電所分岐までの伐採された斜面が、大きく変わっていると思います。
 当時は、植林された杉の木は、幼木でしたが、現在では20年生の立派な林に成長しているはずです。
余程きっちりと踏まれていないと径が不明瞭になっていると思われます。
湯山発電所の径の方がはっきりしているかも知れません。
この辺の所の情報をお持ちの方がありましたらぜひお知らせ下さい。

 2001年秋にに再訪しました、道はよく踏まれ間違い易い2箇所にも立派な標識が立ちました。
あれほど酷かった倒木は、跡形もありませんでした。
杉の幼木は、立派な成木になりましたが暗い林になってしまいました。
社の跡を発見することが出来ませんでした。
 栗ノ木の段は、湯山発電所分岐の上、左に90度曲がる地点に標識があります。
1982年の時は、記憶違いか、当時の名称が下だったのか不明です。
現在、湯山発電所分岐の上に林道が来ています。
栗ノ木の段上の幅広い尾根の良さは変わっていません。

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