山案内・Hiking Guide

黒沢山

黒沢山・中の尾根山途中のガレ場より・1998.4.26

1.概要
かつては、アプローチの長い山で、深南部の秘峰だった。
登路としては、白倉川の支流黒沢方面から直登するのが正攻法だろうが、登山路といえるものはない。
先年の中尾の尾根山に登ったときに見た黒沢林道は、崩壊がひどいようだ。
奈良代山からの長大な尾根に林道が拓かれ日帰りも可能な山となったと聞き込みこれを使う。
1999年11月に栃生山まで偵察を行い、先の目途が立っているので気は楽だ。
特に注意する所は、頂上直下の東南の斜面で大きく方向を変えるので注意が必要だ。
眺望には、余り恵まれ、途中のやせ尾根で深南部の南部が一望のもとに見える。
上の写真で、右の端に見えるのが栃生山で、尾根の長さが良く見える。

黒沢山標高2122.8m2万5千分の1地形図水窪湖、伊那和田、池口岳

2.山行記2000年5月13日(土) 天候・晴れのち曇り

アプローチ
藤枝からバイパスに乗り掛川バイパスを経由して、掛川、森を抜け、天竜。
天竜で買い物をして大輪、水窪を通過、水窪ダムを横目に奈良代林道に入る。
奈良代林道は、奈良代山との鞍部に達し、車を乗り入れることが出来た。
林道は、工事が終わり終点になっている。空き地に車を置く。

登山口から栃生山
黒沢山登山口の標識はないので、少し戻って左の雑木林に入って登山道に突き当たる。
周りの木々は、やっと芽吹きはじめたところだ。
窪地に所々バイケイソウの群落が見られる、これから上には畑かと見間違うほどの群落が多く見られる。
また、木の肌がむしりとられ、熊と思われる爪痕が見られる。岳樺、白樺の木肌が目立つ。
栃生山までは、去年の11月に登っているので勝手が分かり、快調に進み、奥布山まで30分で登りつく。
奥布山は、正面に栃生山を望み、左手前方に中央アルプスが見える、やや雲が多く霞んでいる。
小休止の後栃生山に向かう、ここも快調に30分で頂上に立つ。
この山の名称に混乱があるが、古い石の標識に記された栃生山が正しいと思われるので以後この名前を使用する。
ここまでは、笹も出て来るが、切り開きがあり特に問題のある所はない。


バイケイソウ群落・奥布山

栃生山から黒沢山
頂上には、単独行の先行者がいる、先行者は、先に出発する。休憩後黒沢山に向かう。
ここからは、明確な切り開きはなくなる。最初は笹の中を行くが良く踏まれており問題無い。
尾根の左端、笹が薄い部分に出る、右側は、笹が深く入らないことだ。
尾根の北側をトラバースするルートに入る、枝にポカリの缶が差してあり、鉈目が見られる。
最初は、林の中、次いで笹の切れ目に出る。
笹の切れ目を登りぎみに行く、ガレの縁とかあり注意してゆく、と、笹が深くなり、目の高さ程になる。
足元は良く踏まれているので方向を見定めて突破すると良い。所々に倒木が隠れているので気を付けたい。
1810mのピークは、通過せず、北側を捲いてゆくことになる。絶対に尾根伝いには行かないことだ。
笹の中を右手に上がるようになると痩せ尾根に出る。このコース、眺望が少ないが、ここが一番良い。


不動岳・痩せ尾根より

また、この辺りは、野生動物の領域で、鹿の糞が径を埋め、土が見えないほどだ。
南側が開け、深南部の南部、不動岳、鎌崩の頭、丸盆岳、黒法師岳、バラ谷山のパノラマが広がる。
また、左手には、これから向かう黒沢山が意外と近く見える。先行の単独行者はここから戻った。
暫く尾根を行き、青いポリタンクが岩に挟まっている、やがて尾根の南側を巻く。
この辺りから獣道が入り乱れて来る、しかし、赤テープとか目印が多くこれを拾ってゆける。
ついで尾根の北側に入り、尾根の平らな窪地に出る。1867mのこぶも通らず北側を捲く。


黒沢山直下の平らな窪地

笹は薄く樅等の背の高い、大きな針葉樹の林で平らな部分が多い。
展望はないが、尾根の広くなった所で、静かで落ち着く深南部の雰囲気が良く出ている場所だ。
標高1870m辺りで地形図でもはっきりと判る。このまま右に巻いてゆけば黒沢ガレの上に出られると思われる。
コースは、笹の中やや左手正面にトレース、赤テープが見られる。黒沢山直下であり登りに備えて、長めの休憩をとる。
ここから黒沢山の南西に延びる尾根に乗るまでが、このコースの一番のポイントとなる。
最初は、左に上がるが直ぐに右に斜上し、一度左に登り尾根に出て右に行く、逆Z型に登ってゆく。
最初は、直登するが、やがて右手に巻くようになり高度を上げて行く。笹はなくなり薄暗い樹林の登りになる。
90度左に曲がる地点が解るか不安だったが木の枝に青いナップザックがぶら下がっている地点で左に曲がる。(標高2000m辺り)
下りのときの一番の注意地点になるはずだ。
予想したルートと殆ど同じだったが、笹の中でなく暗い樹林だったのは、予想外だった。
ここから頂上から南西に延びる県境尾根の末端に直登する、ここに達すれば一安心。
厳しい登りだが意外と早く標高2070m付近の尾根に登りつく。
傾斜が緩くなり丈の短い笹の中をゆっくり登ってゆくと両側の稜線が近くなり頂上が近づくのが解る。
尾根が広くなり雪が所々に残っている、雪を踏んで黒沢山に登りつく。
頂上には、雪もなく風も当たらず、笹も切れて数人が座れて休憩にもってこい。
頂上の一角には、小屋の基礎みたいな板を並べた場所がある。
この頃になると雲が多くなり周りの景色は見えなくなる。
主稜線を中の尾根山方面に下がって、展望の効く地点を探すが見つからず頂上に戻る。
頂上直下の北側斜面を数メートル下ると樹間を通して北方が見えそうだが今日は駄目だ。
頂上の周りを展望を求めてうろうろして時間がかかった、ここで昼食にする。


黒沢山

黒沢山から登山口
昼食後下りにかかる、頂上から延びる尾根の先端から下、南西方面を覗く。
そのまま、獣道を拾ってゆけば下りられそうだが安全のため、また、栃生山への曲がる地点を再確認するため来た道を戻る。
やはり、青いナップザックを目印に下りそこで90度右に曲がってトラバースし、尾根を下ると平らな窪地に出る。
平らな窪地からは、笹の中をまず、北側、ついで尾根を超して南側に移り、痩せ尾根に出る。
ここまで戻ってくれば、後、迷い易い地点もなく一息入れられる。座り込んでミニ反省会。
痩せ尾根からは、朝と違って何も見えない、会話が途切れると小鳥の歌声だけが大きく聞こえる。
尾根を外れると一旦笹が深くなり、尾根の北側のトラバースルートに入る。
トラバースルートを抜け、笹の中を通り、栃生山に戻る。
栃生山から奥布山を経由して林道、少し戻って奈良代山に登り、元に戻る。
今日は、天候が曇りで、展望がいまいちでしたが、静かな1日で深南部らしい黒沢山を楽しめました。

遠山郷の民宿島畑に泊まる
黒沢山登山後、兵越峠を越え、遠山に入る。
最近、2週間ほどまえに出来たかぐらの湯に寄って行くことにする。
和田に出て左に行き、遠山川を渡った所にあり、湯温43度の高濃度塩化物温泉で、お湯の味は、しょっぱい。
建物が、桧をふんだんに使った木造建築で、暖かみのある、ぬくもりを感じさせる。
風呂は、数種類あり、桧の湯船、露天風呂と変化に富んでいる。
今日は、ゆっくりできないが良い所だ。

源泉営業時間定休日入浴料金電話
湯温43度
高濃度塩化物温泉
ナトリウム、カルシウム塩化物温泉
4月〜11月
10:00〜21:00
12月〜3月
11:00〜21:00
毎週木曜日大人
600円
子供
400円
0260-34-1085

かぐらの湯を出て民宿島畑に泊まる。
さすが、猪なべと鹿刺しは冷凍だが、山菜の天ぷら、イワナの刺し身等が珍しく、
アマゴの天ぷら、イワナの骨のから揚げ、と山の幸が並びます。
何時も、おかみさんと、お母さんとの心のこもったなもてなしで芯から暖まります。


民宿島畑、山の幸

3.参考タイム 藤枝(5:00)==天竜(6:00)==大輪(6:30)==水窪ダム(7:05)==林道終点・登山口(8:00)--奥布山(8:30)
--栃生山(9:00〜9:15)--トラバースルート入り口(9:25)--痩せ尾根(10:10〜10:15)--窪地(10:45〜11:00)
黒沢山(11:35〜12:35・昼食)--窪地(13:00)--痩せ尾根(13:30〜13:40)--栃生山(14:20〜14:30)--
苔庭園(15:05〜15:15)--奈良代山(15:30)--登山口(15:35)


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