The Room of Naturalist/道しるべ・駿河の山/安倍川西岸の山

八森山


八森山/送電線巡視路から

    1.概要
 安倍西岸にあり、見月山の北、二王山の南にある。
四方八方に尾根を派生し、その名の通り森に囲まれた山。
展望もなく、人気がないので登る人が少なく、登路もはっきりしないところがある。
その分静かである、それぞれの尾根を登ると面白いと思われる。
今回は、中平から送電線巡視路を登り北上、三星峠に出て180度回転して頂上へ登る。
そのまま東進し、下渡に下るぐるっと一周するコースを歩いてきた。

 頂上から下渡への径は、コースサインはあるが、踏み跡少なく、標識はない。
初めての人には、下る場合、判り難いので、戻るように薦める。
今回下るに当たって間違えて戻ったり、不明確で左右に歩いて径を確認したりしてロスタイムが合計30分以上あった。
また、戻る場合も、コースが長いので充分な時間をとることが必要だ。

標高1044.6m地形図(1/25,000)湯の森

    2.山行記 2002年2月16日(土) 天候・晴
アプローチ
 静清バイパスを、安倍街道に左折、北上し、平野で安倍川右岸に移る。
橋を渡って学校を過ぎ暫らく行く見月茶屋、ここにも見月山登山口がある。
更に行くと道路は河原に下りてゆく、河原から旧道上がり中平物品販売所に着く。
これを左折し、ヤマメの養殖、販売所の前を戻って旧道の脇に駐車する。

北沢から中平上部の茶畑
 中平物品販売所のオバちゃんに八森山への登路を尋ねるが要領を得ない。
北沢沿いの旧道の状況も不明、見月山との鞍部まで送電線巡視路に沿って登ることにする。
中平の上部茶畑への歩道も発見できず、舗装された農道を歩く。
適当にショートカットするも余り有効でなく予想よりも時間がかかって登りつく。
 茶畑の最上部で農道が二手に分かれる、右に廃車の脇を進んで行く。
右手下には、新築の別荘が見られる、農道は更に沢の方面を目指す。
二手に分かれ暫らく行くと左手に小さな古びた見月山方面との標識がある。
また巡視路の標識もあり、佐久間東幹線No.124、No.2-94への矢印が付いている。

登山口からNo.124の鉄塔
 農道から苔の目立つ径を、下草が刈られ、間伐もされ手入れの行き届いた桧の人工林に入る。
暫らくジグザグを繰り返し登って行く、左手に若木が目立つようになり、右に入って行く。
が、ここは間違い、更に進んで、モノレールを越えて、上部を目指すのが本当のルートだった。
人工林をジグザグを切って登って行くと桧が何時の間にか杉になりゴロゴロした石が目立つようになる。
この頃から踏み跡がなくなる、間違えたようだ、周りを見渡すと左上に見覚えのある岩が見える。
岩の向こう側にルートがあるはずだ、杉の急斜面を岩と同じ高さまでジグザグに登り、乗り越えるとルートに出る。
 明るく、桧の幼樹になり、直ぐ上に鉄塔が見え、No.125の鉄塔基部に登りつく。ここまでで30分。
一旦林に入るが直ぐに抜け、送電線下の切り開きになる、径もはっきりしている、やがてNo.2-94の鉄塔になる。
ここからは、対岸の安倍東山稜、浅間原、第二真富士、真富士山が良く見える。
また、人工林に入るが暫らくして抜け出し、No.124の鉄塔になる。ここからは更に東山稜が良く見える。
 鉄塔の直ぐ上、小さな痩せた尾根になる、樹木がなくここの展望が最高。
振り返る正面に、青笹、浅間原、湯野岳、第二真富士、真富士山と東山稜が目の前に広がる。
北には、これから目指す八森山が対峙する。


安倍東山稜・青笹方面

No.124の鉄塔から鞍部(No.123の鉄塔)
 尾根から左にも一つ鉄塔を見送り尾根に取り付く、天然林の中霜柱の径を踏みしめ、ジグザグに登って行く。
暫らく登ると右斜めに登るようになり、送電線下の切り開きに出る。
ここからも安倍東山稜が良く見える。
やがてススキの茂る、2本の鉄塔が並び立つ鞍部に登りつく。右がNo.123の鉄塔だ。
ここに小さな標識があり、左見月山、右に三星峠、八森山とある。


小さな標識

ここからは、七つ峰、朝日岳等が見える。


七つ峰

鉄塔の下が広く開けて暖かく休憩に最適だ。

鞍部から三星峠
 鞍部からは、地形図によると北に向かい、暫らくして左に折れるはずだ。
杉林を北上すると何時の間にか下っている、このまま下ると沢に出てしまいそうだ。
左を見ると林が切れて明るい、気が付くとカモシカがこっちを見ている。
そっちではないよ、こっちだよとばかりにお尻を振って消えていった。
カモシカに径を教えられた、杉林と笹の間にルートがあり地図上のガレ場の端を下っている。
急激に下ると三星峠、石柱とか地蔵はないが標識がある。
左には下る径が付いている、右には、沢の源流に下ってゆく踏み跡がある。

三星峠から1004mのピーク
 三星峠からは、笹混じりの天然林を急登する。
この辺りから踏み跡が薄くなり、落ち葉が径を埋め、歩く人が少ないのが判る。
また、人工林になり、一度ピークを越え、下り左に巻いて行く、左から尾根が上がってきてその尾根に乗る。
 ここに標識、コースサインがある、右に曲がる。下りに入りやすい尾根だ。要注意箇所。
緩やかに杉の人工林を登って行く、時々笹が顔を出す、現在間伐中で、間伐材が径をふさいでいる箇所もある。
1004mのピーク手前で左に曲がる、ここにも標識がある。下りには、ここも要注意箇所だ。

1004mのピークから頂上
 緩やかに上下を繰り返して行く、全般的には、右が杉、桧の人工林、左が天然林となる。
右手をすかして八森山が覗く、思ったよりも遠く、長く歩いて行く。
973mのピークで右に折れるが判然としない、と、言うよりも疲れて注意力が散漫になってきた。
前方が明るくなり伐採地に出る、右手は伐採され、境界にシカよけのネットが張り巡らされている。
 正面に八森山の頂上、右手にNo.124の鉄塔のある尾根が望める。


八森山頂上

八森山には、笹混じりの潅木帯を登ってゆく、左手からの尾根が見えなくなり、人工林の頂上になる。
頂上は、真っ暗ではなく、少し明るく、2,3枚の標識と三角点がある。
 ここで2時近くになってしまった、戻るか、進むか判断に迷うところだ。

頂上から下りのルート
 事前に地図上でトレースしたルートは、西に戻る、東に下る、南は沢の源流に出る、北は2本あり、右のほうが良さそうだ。
戻るとすると2時間、16時に三星峠か、鞍部。下りに90分で途中で日が暮れるかもしれない。
三星峠からの沢沿いのルートは、廃道かもしれない。
 踏み跡は、真っ直ぐ東に下っている、ヤブコギ、下渡の標識が一枚、コースサインのテープはある。
真っ直ぐに東へ下るルートが最短で、沢に入らなければ、道路に出られる。
これで決まりだ、ここで迷ったら駄目、自分の判断を信じることだ、確信を持って東に下ることにする。
 方向は、太陽の位置と自分の影と、時刻。見月山の方向が南だ、見月山を背にして右手が東。
昼食は、ある程度見通しが立ってからにして、簡単に済ませ、早々に下り始める。

頂上から上部の茶畑
 地形図どおり最初から急下降が始まる。
踏み跡は薄いが、赤と青のコースサインが多くある。
右手は杉の人工林、左手が天然林、その境目を下ってゆく、左手に別の尾根が高くなる、正解のようだ。
時々踏み跡が途切れる、が、落ち着いて見回すとコースサインが見られる。
コースサインが途切れると、踏み跡を探す、これを繰り返して下ってゆく。
天然林から離れ、間伐された人工林に入って行く。
 30分ほど下ると、松の木が目立つ小さな尾根に乗る、右手から水音が聞こえる、尾根を直進すると沢に入りそうだ。
左に90度折れる、相変わらず踏み跡とコースサインが頼りで下ってゆくと、前方が明るくなる。
緑の葉が茂り、手入れの良い茶畑に出た、香花が植えられ、小屋があり、モノレ−ルが上がってきている。
正面には第二真富士、真富士山、浅間原の東山稜が、山襞の間に浮かび上がる、絶景。
これまで、殆ど展望に恵まれなかったが、ここに御褒美が用意されていた。
 ここに腰を据え遅めの昼食と摂り、対岸の山々を撮影する。
手前の山襞をフレームにして、午後の陽射しに安倍東尾根の中央部が浮き上がる。
斜光線に尾根が浮き出てルート探しに最適な写真が撮れた。


第二真富士北西尾根

上部の茶畑から下渡
 ユックリと休んで、最後の下りにかかる。
ここまでくれば径は付いているのだが、里に近くなるほど枝分かれして難しくなる。
判ってはいるのだけれど、ひっかかった。小屋の脇を通って暫らくモノレール沿いに下る。
 右から水平に道が入ってくる、プラスチックの波板が転がっている、そのまま下ってしまった。
暫らくして気が付く踏み跡が消えた、モノレールは直線的に急激に下っている。
周りを探すが踏み跡は発見できない、さっきのところだ、水平道まで戻る。
今度は右に入ってみる殆ど水平だが戻る感じで、人の足跡なくけものの足跡だけだ。こっちも違う。
左に行くしかない、浅い溝を横切っている、と、そこの入口にテープが2,3本巻き付いている。
径は、溝を横切り左手に下って、モノレールとは次第に離れて行く。
 更に下ると、下が開け、桧の幼樹の植林地になる、明るく暖かい。
ここからは溝の中を暫らく行く、踏み跡があまりはっきりしない。
お茶畑に出る、横切って行くと下に人家、道路が見える。
 下りきると、下渡の人家の脇を通って道路に降り立つ、白い手すりが目印、文字の判読できない標識が転がっていた。

下渡から中平、北沢
 下渡からは、舗装道路を歩き、一度県道に出て出発点の中平、北沢に戻る。
先ほどのモノレールは、急な斜面を下り、小さな沢に下りていた。
モノレール沿いに下ると途中で行き詰まる。
 北沢の北端にある社は、白髭神社だった。この裏から尾根を登れるかもしれない。

    3.参考タイム
藤枝(7:45)==静岡==中平、北沢(9:05)--中平上部の茶畑(9:45)--No125の鉄塔(10:15)--
No2-93の鉄塔(10:40)--No124の鉄塔(10:55-111:00)--鞍部、No123の鉄塔(11:25-11:30)--
三星峠(12:00)--1004mのピーク(12:45)--八森山(13:40-13:45)--松の木の尾根(14:15)--
上部の茶畑(14:30-14:45)--下渡(15:45-15:55)--中平、北沢(16:30)=静岡=藤枝(17:50)

    4.MAP

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