The Room of Naturalist/道しるべ・駿河の山/安倍東山稜

浅間原


浅間原、対岸の八森山から

    1.概要
 静かな笹原の山、富士の雄大な眺めがある。
青笹から南下、第二真富士山北上と、下山口に選ばれることが多い。
平野林道終点から送電線巡視路を使って直接浅間原に登り第二真富士まで南下、北西尾根を下る。
実は、安倍東山稜で浅間原から第二真富士のこの稜線を歩いたことがなかった。
一番地味で、静かなコースかもしれない。

 いずれもバリエーションルートで、頂上以外にめったに人に会うことはない。
このルートは、下山路に使うと枝道が多く迷い易い、登りに使用した方が良い。
登りに使用しても枝道は多いが、2本の送電線路のうち、北側の送電線の鉄塔(No.133)が目標になる。
全体的には、西側から山に正対し左上を目指して行く。

標高1,414m地形図(1/25,000)篠井山/和田島

    2.山行記 2002年1月12日(土) 天候・快晴
アプローチ
 バイパス、安倍街道と来て平野から林道に入る。
林道入口に8キロ先道路崩壊通行止めの標識がある。
 現在も工事が行われておらず、当分は8キロ先で車はストップする。
今日は、7キロ先の第二真富士北西尾根の先端、右カーブし広くなった左の路肩に車を止める
最終的にここに下ってくる予定だ。

北西尾根先端から平野林道終点まで
 車を置いた場所は、路肩が広くなっており、車2,3台が置けるスペースがある。
左下にはアンテナがあり、道路が分岐するがチェーンが張ってある。
舗装された林道を歩き始める日陰に入り雪が残り凍りついている場所があり歩くのにも注意が必要だ。
注意して歩いて行くと先日取り付いた北西尾根の枝尾根にを回り込む。
 この先が8キロ地点で人一人が歩けるスペースを残して道路が崩壊している。
通行止めのゲートになっている。
崩壊地点からは西側が開け、対岸の安倍川上流と、七つ峰、大無間山が良く見える。

更に行くと右側の上部が崩れ道路に土砂が流出している。
黒沢橋となり先日下山した山道が右から降りてくる、ここには「沢向造林地」の看板が有る。
 林道は、傾斜が増し、路上に落石や流出した土砂が見られ歩きにくく、道路崩壊に伴い手入れがされていない。
道路が右カーブし、振り返ると、後、左下に車を置いた地点のアンテナが大分遠くに見える。
傾斜が緩み舗装が途切れる、右上に大きな岩が山の中腹に見える。
ここまで来ると林道終点は近く、やや下り気味に行くと突然のように林道の終点になる。


林道の終点

林道の終点からNo.2-101鉄塔(標高約1000m)
 林道終点からは沢を横切りながら山腹を縫って行く。
左に下り下に4,5本束ねた丸木橋がかかる、沢に水はない。
雑木の中下り気味に行くと2本目の沢になる、この沢にも殆ど水がない。
この辺りから杉林になり回りこむと3本目の沢になる、少し水が有る。
尾根を登り回りこむと4本目の沢、水量が多い、渡ったところ右に炭焼きの跡があり枝道が有るが直進する。
少し下り、壊れかけた丸木橋のかかる枯れ沢に出る、5本目の沢で丸木橋の先端ががトラロープで吊られている。
 枯れ沢を渡り行くと径が分かれる、ここに中電巡視路の標識があり右には、No.133とNo.2-101への矢印がある。
その先に禁猟区の赤い看板がある、左は下り気味になっている。この道は、先の尾根で合流する。
K氏からの情報ではこれを右に行く、今回は左の径を採った。
 少し下ってゆくと小さな尾根にぶつかる、ここにも巡視路の標識がありNo.2-101への矢印が有る。
この小さな尾根を登って行くと先が明るくなり鉄塔が見える、林を抜けると明るく開けた鉄塔の基部に来る。
ここで休憩、日当たりがよく、暖かで西、北側が開ける。
見月山、七つ峰、朝日岳、風入らず、大無間山、小無間山、前黒法師岳、黒法師岳、不動岳等の深南部、遠くには聖岳が見える。
No.2-101からNo.133鉄塔(標高約1190m)
 この鉄塔からは、小さな尾根を行き、暫らくすると杉林に入る。
右から水平に径が来ている、さっき分かれた径のようだ、合流して左の尾根に上がる。
次第に左に上がるようになり、山腹をジグザグに登り、先が明るくなり林を抜けると鉄塔の基部に登りつく。
北側の送電線路に移り、No.133の鉄塔だ、ここはNo.2-101鉄塔に比べて北側が隠れ西側だけが開ける。
ここも休憩によく小休止する。この先径が二手に分かれる。

No.133鉄塔
 この鉄塔から先に径が二手に分かれる、まず、右手に入る。
こちらの方がきれいで先が見え入りやすい。
山腹をトラバースし、尾根から離れて行く。最初は明るいが杉の林に入り沢の窪地になる。
どうも上に行かず巻いて行く、南側の送電線路に移って行きそうだ。
上に登る径があるか判らないので鉄塔まで引き返す。
結果的には、南の送電線路の下にも巡視路があり稜線に登ってきていた。

No.133鉄塔から浅間原
 鉄塔に戻り真っ直ぐに上を目指す、明るく切り開きになっているが歩きにくい。
やがて杉林に入りジグザグに上がって行く。
傾斜が緩くなり稜線に出る、地形図の波線路に合流する。
よく踏まれ古い標識もある、壊れた小屋の脇を通って登ると林を抜け、笹原になる。
 笹の丈は1.5mくらいで頭が抜ける、径の笹は刈ってあり歩き易い。
直ぐ右に水場の標識がある、偵察に行く、林を抜けると笹が広く刈ってあり暖かで開けている。
ここに荷物を置いて更に行くと沢の源頭になる。
水場は沢を下ったところで標識がある、水音は聞こえないが下れば水が有りそうだ。
荷物を置いたところに戻る、西側が開けて展望が良く深南部の大展望があり、頂上は近いので休憩する。


深南部の大展望

 分岐したところに戻り笹原を右に行く、笹の上に南アルプスの雄峰が覗く、雪で真っ白に輝き意外と近く見える。


笹の上に南アルプスの雄峰が覗く

更に笹原の中を登り、右にNo.134の鉄塔を見て、その脇を通り、稜線に出る。
稜線に出ると大きなプレゼントが待っていた。
稜線から東に入ると笹が切れ、雪に覆われた富士山の雄姿が静かに浮かんでいる。

浅間原から第2真富士山
 富士山を眺めながらの贅沢な昼食を摂る、雲ひとつなく、かえって見えすぎの感がある。


浅間原からの富士山

富士の右の愛鷹山は、越前岳と主峰が雲に浮かび海に浮かぶ小島のようだ。
手前には、興津川が広がり、特徴ある高ドッキョーが午後の陽射しに沈んでいる。
 稜線に戻ると標識があり、笹の中を左にとって南下する、直ぐに南の送電線路をくぐり高みを目指す。
南の送電線路の下にも切り開きがあり、踏まれている、No.133鉄塔から右に入った巻き径からもここに登れそうだ。
稜線の径は、笹が刈られ歩き易いが笹が尖っており注意が必要だ、緩やかに登り1438m、1445mと越えて行く。
 この辺りから雪が残り、雪面に点々と2本足歩行の足跡、クマさんか、4本足はシカさんのようだ。
標高1445mの頂は、湯野岳の木札がぶら下がっている、この手前でクマさんは右の林に入っていった。
 湯野岳を越えると、笹がなくなり、右は気持ちの良い天然林、左は桧の人工林となる。
この人工林の手入れが悪く、鉛筆と表現するよりも細い、芯のような木が混じる。
一度大きく下り、登り返して1341mのピーク、ここには、初心者進入禁止の注意が付いている河内分岐の黄色の標識がある。
 これを越えて、馬酔木の目立つ稜線を一登りで1401.7mの三角点のある第2真富士山頂上になる。


第2真富士山頂上

この登りの途中で右に下る目的の北西尾根を分ける、入口に標識がないが目印はある。

第2真富士山から北西尾根を経由して車に戻る。
 第2真富士山には、測量のために登ってきた人がいて、我々の通ったルートの状態を話し別れた。
頂上を後に北に少し戻る、目印に従い左に入る、雑木林の中を急激に下り、大きな岩の右を巻いて下る。


北西尾根

 左が松林となり、更に下ると傾斜が緩み、針葉樹林に入る、この辺り踏み跡が乱れ判然としない。
径は、高みを左に下ってゆく、右に行くと先日下った黒沢橋に下る道に入る、が、判り難い。
 この針葉樹林帯が終わると倒木帯になる、倒木帯からは、遠くに南アルプスの白銀が望める。
尾根につけられた径は通れず、左の植林帯に入り適当に下る、倒木帯が終わると植林の中に踏み跡が復活する。
 この辺り以前になかった黄色のテープ、青の荷物用テープがあり煩わしい、幹に巻きつけられたものは外した。
足元の踏み跡は確りしておりテープは不要で、幹に巻かれたテープは数年で食い込み成長を妨げるはずだ。
 植林帯を抜けると足元に石が混じるようになり雑木林になる。
雑木林は、広葉の落葉樹で日当たりが良い、ここで一休み、下りの半分以上は来た。
 雑木林を抜け、杉の植林に入ると尾根が広くなり踏み跡が乱れがちになる。
尾根の高みを拾って下ると前方に金網に囲まれたアンテナになる、金網の外側を左に取ると林道に降り立つ。
ここにも誰かが青いテープを幹に巻きつけた、外して枯れ木に付け直す。

    3.参考タイム
藤枝(7:00)==静岡==平野==北西尾根の先端(8:30)--平野林道終点(9:20)--
5本目の沢(9:45)--No.2-101鉄塔(10:05-10:10)--No.133鉄塔(10:40)-(ロスタイム約10分)-
水場入口(11:30-11:45)--浅間原(12:00-12:30)--湯野岳(13:10)--河内分岐(14:10)--
第2真富士山(14:20-14:30)--下の雑木林(15:00)--北西尾根の先端(15:30)==
平野==静岡==藤枝(16:50)

    4.MAP

安倍東山稜 道しるべ・駿河の山

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