The Room of Naturalist

安倍東山稜

安倍大滝から奥大光山を経由して大光山


大光山西峰

    1.概要
十枚山の北に有り以前は、縦走するより手は無かったが、現在は、安倍の大滝からと、草木からのルートがある。
稜線の縦走は、笹の密生から開放され、手入れが行き届き歩き易くなった。
西峰には、白樺の疎林のある、素晴らしい雰囲気を持った展望がある。

標高1661.3m2万5千分の1、地形図梅ヶ島

    2.山行記 2001年6月2日(土) 天候・晴れ
アプローチ
静岡市内を抜け、安倍川沿いに梅ヶ島温泉まで遡る。
梅ヶ島温泉からは、林道梅ヶ島豊岡線に入り、安倍峠への登山道入口を左に見送る。
1348mから南下する尾根を大きく回りこんだ所に大滝入口がある。

安倍大滝入口

今日のプランは、大滝から奥大光山を経由して大光山。
戻って北上し、安倍峠を回って林道を下り車に戻ることにする。
安倍峠までの稜線の歩きが長いので、時間によってはピストンになる。

林道から安倍大滝
林道から標識に従い杉の植林帯を急激に下る。
杉林は、ジグザグの急な下りでもし帰りに登ると嫌だなと感じながら下る。
下るほどに水音が大きくなり滝が近づく。
木の間越しに滝を望み、そのまま下ると滝の展望台の横に降りる。
滝は、数日来の雨でかなりの水量となり、迫力がある。

安倍大滝から1326メートル峰
大滝からは、右岸を下り、桟道を過ぎ、吊橋で対岸に渡ると奥大光山登山口の標識がある。
(2万5千分の一地形図は、左岸に径が付いている。)


奥大光山登山口(大滝の下)

登山口から1326mから北に派生する尾根を急激に杉桧の植林を登る。
時に小さなガレを横切るが、ロープが張ってある。
明らかな尾根に出ると苔の美しい場所に来る、対岸の峰が望める。
また、植林に入って行くと左側に熊捕獲用の檻がある、住人は居なかった。
尾根の左側が美しい天然林に変わる、しかしまた植林に入る。
ジグザグに上がりそのままトラバースし、1326mは通らないかと思ったら、右に大きく回りこむ。
回り込むとブナの若木の林になり、その中を斜上する。非常に気持ちの良いところだ。
1326mのピークの西端に登りつく、左に90度曲がってピークになる、右が植林、左が天然林。
一旦1552mのピークとの鞍部に下る、笹が見られる。

1326メートル峰から1552メートル峰
この鞍部から1552mまでの標高差250mを緩急をつけながら一気に登る。
全体的に急激な登りなので焦らずゆっくりと、緩くなった部分で息を整え、中間部で休憩して登ると良い。
周りは、ブナなどの若木の天然林で、気持ち良く、植林前の安倍奥の天然林が復活してきていると感ずる。
場所によっては急激でロープが下がっている場所もあるが危険は感じない。
1552mのピークは広く、笹が見られるが低く薄い、ブナのほか白樺、岳樺、姫紗羅も見られ休憩に良い。


1552メートル峰付近

唯今日は、虫が多くゆっくり出来ない、おにぎりを頬張って退散し、先を急ぐ。

1552メートル峰から奥大光山
1552メートル峰から急に下りキレットとなる。
要所には、ロープがあるが岩場であり、左右が切れているので濡れている時など特に注意したい。
一度林が切れ右、西側が開ける、振り返ると遠くに大無間山塊が望める。
この悪場を過ぎる頃からシロヤシオが目立つ、花は、盛りを過ぎ散り始めた。


奥大光山手前



奥大光山手前のシロヤシオ

これを過ぎると前方が壁のようになり、奥大光山の稜線に取り付く最後の急登が待っている。ここにもロープがある。
この急登を登ると一旦緩やかになり左右の稜線が近づき奥大光山に飛び出す。

奥大光山から大光山
この稜線は、昔、笹が密生し歩けるだけの径だったが、現在は、笹が刈られ歩き易くなった。
また、笹の中に点在する木々は、ブナ、白樺、岳樺、姫紗羅に加えて楓が目立つ。
稜線に出て右、南下する緩やかに上下し、左には、富士の姿も見られる。
今日の富士山は、恥ずかしげに顔を隠している。
東側は、富士川で、安倍峠の下山先である身延の大城辺りが見える。
南の大光山は、木が繁っているが、西峰が芝生のように見える。暫らくで大光山山頂。


大光山山頂

大光山山頂は、小さなピークで見通しは無く、僅かに十枚山が顔を覗かす。
この先にある大光山山頂が素晴らしい、白樺を前景にして南アルプス南部、笊ヶ岳が望める。


大光山山頂からの南アルプス遠望

この場所は、以前笹に埋もれ径も無く、ここにこんなにも素敵な場所があることを知らなかった。
大無間山は木に隠されている、南には、十枚山が大きく、左肩に下十枚山が覗く。
十枚山の左には、篠井山がやや遠く、右には、遠く見月山が霞んでいる。
盛りを過ぎたミツバツツジが艶やかに咲き残っている。
ここで仰向けになると空は青く澄んで、小鳥のさえずりと笹を揺らす風音だけしかない。
何時の間にか眠ってしまった、慌てて気が付き起き上がる。2時を大きく過ぎ、3時に近い。
北に戻る、奥大光山まで来ると午後の斜光線にシロヤシオが浮きあがっている。


奥大光山のシロヤシオ

この先、安倍峠までは長い、2つの大きなピークがある、行きかけたが止めて元に戻ることとする。

    3.参考タイム
林道安倍大滝入口(9:50)--安倍大滝(10:00)--奥大光山登山口(10:35)--1326m峰(11:30)--
1552m峰(12:15)--奥大光山(13:05)--大光山(13:40〜14:45)--奥大光山(15:20)--
1552m峰(16:00)--1326mとの鞍部(16:25)--苔の尾根(17:05)--安倍大滝(17:30)--
林道安倍大滝入口(18:00)

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