第7次緑の協力掛川隊

掛川の森

掛川日中友好協会では、1997年から地球温暖化防止、黄砂飛散防止のため、
元鳥取大学教授遠山正瑛の主宰する中国クブチ沙漠の緑化事業に協力して、沙漠に植樹をしています。

 2004年、掛川市制50周年行事の一環として、第7次緑の協力掛川が、32名で編成されました。
私もこの事業に参加し、1998年、2000年に引き続き今回で3回目となります。
今年は、名古屋から北京まで飛び、夜行列車で包頭の予定でしたが、
急遽変更となりフフホトまで空路で行き、フフホトから包頭高速をバスで行きました。
最初の年1998年とは比較にならないほどあっけなく沙漠緑化基地恩格貝に入りました。
カシミヤの絨毯工場を改装した宿舎は、使われていなく、立派なホテルが建っています。
沙漠緑化の最前線に向かう遠山正瑛先生の銅像は変わりなく遠くを見つめていました。

 当地恩格貝は、植樹による森が出来、沙漠に出現した湖もあり一部では観光地化が進んでいます。
5次、6次隊のメンバーからは最初の良い雰囲気は薄れている言われてきました。
私も今回を最後にし、現地の中国の人たちに任せる時期が来たのかなと思って参加しました。
しかし、現地はやはり違っていました。

 確かに沙漠の湖にはモーターボートが湖面を疾走し派手な看板も目立ちます。
しかし、その隣には、遠山先生が最初に植えたといわれる北京ポプラが、
13年の歳月を経て大きく根を張り、枝を広げています。
沙漠のかなたには緑が見え、足元の砂にも草が生え復活しています。
湖は、危うい砂の堤防に支えられているだけで今にも壊れてしまいそうです。
沙漠にも大雨による洪水があり、谷が出来、沙漠になる前の古い地層が露出しています。
谷沿いには、柳の木が自生し、水が流れ、ダイナミックに変貌を始めています。
また、何人もが手をかけ、年月を経た森は豊な緑を提供しています。
ここでは種々の雑音を吹き消す大きな力を感じました。

 1998年に植えた木々は現地の都合で沙漠の中に植えたので、何処にあるのか判らなくなりましたので、
2000年からは決まった場所に掛川の森を作り継続して植えてきました。

 今年は、苗木の掘り取りから始め、先年までに植えた木の補植を中心に行いました。
沙漠にスコップで1メートル近い穴を掘り、苗木を植え水遣りをする。これを繰り返します。


また、別のグループは機械、アースドリルで穴掘りをし、手際よく植えてゆきます。
私も暫らく、機械掘りを行ないましたが、やはり手掘りが良く、スコップに持ち替えての作業に戻りました。
最後に全員で記念樹を手掘り約100本、補植中心に200本、機械で300本、全部で約600本となりました。

 午前中は、休憩も取らずに植え続けました。
昼食後2000年に植えた場所に何か目印は残っていないかと探しました。
すると次々にその時付けたプレートが見つかりました。
誰かが大声で呼んでいます。
「あったよ、大石さんの木があるよ。」2000年に娘と並んで植えた苗木は、
沙漠の風雪に耐え根付いて緑の枝を広げていました。

これらの木々は、やっと根付いたところであり、これからの成長を見守って欲しいと言っています。
その時に着けたプレートは、砂に埋もれ半分は千切れていましたが、
何とか見つけることが出来、胸に熱いものがこみ上げてきました。
4年が経ってやっと数センチに太り、葉のない苗が緑の葉をつけ枝を伸ばしています。
また、2001年、2002年に植えられた木々も根付き、森を形成し始めています。

 この光景を目のあたりにして新たな闘志が湧いてきました。
この森が大きく育ち、花が咲き蝶が舞う間に草原が復活し、空には鳥が飛び交い営巣します。
地には動物が這いまわる、出来うれば鹿が群れる。
そこまで確認しなければ終わりません。
他の仲間が植えた木々の成長を伝えることも必要です。
どんな木が生えているだろうか、復活した植物はどれくらいあるだろうか。
草原に、森林に生きる昆虫は、蝶は、鳥は、動物はどのくらい居るのだろうか。
まだまだ調べて明らかにし、伝えることが多く残っています。

 「森が出来る事により気候が変わり年間降雨量が増える。」と遠山正瑛先生は仰っていたそうです。
現地スタッフYさんのお話だと現在は、かえって減っている、とのことです。
しかし、この事業を続けていれば必ず何時かは、突然に変って雨が降るようになると確信しています。
事実、1998年には乾燥し素晴らしい夜空を提供してくれましたが、
それ以後は曇り空が続き、今年は雨に降られました。

 1998年に受けた熱気を感じる事がなくなり全国からのボランティアも激減しているようです。
しかし、まだここで中国の人たちだけに任せることは出来ません。
体力の続く限り、掛川隊だけになってもつづけようと思いを強くしました。

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